今から、13年程前 。。
縦目の主治医 中森さんから、私のメールマガジンに寄稿して戴いた記事の再掲載

最終回の話は、自動車の創られ方 を

自動車は人類の道具として発祥しましたから、短いとは云え時代と共に作られ方も変化して来ました。
実用性が主であるのは当然ですが、必需品の多くがそうである様に、初めは贅沢品として所有欲を満足させる作り込みが売り物になり値段は二の次、そして大量生産される様になってからは大衆が受け入れられる様にコストダウンが図られて、同時に永く使える堅牢さが売り物になりました。

戦後、世界のの国民車ブームで誰もが買える車を目指してその国独自の個性溢れる安い自動車が大量に作られ巷に溢れる様になり、ここに自動車は大衆の道具となりました。
西ドイツのビートル、イタリアのフィアット500、フランスのシトロエン2CVが相次いで登場。

アメリカは戦勝国で景気良く、ジュラ紀さながらのデカイ恐竜時代に入ります。
後進国アジアでは自転車が溢れる様になり日本ではオートバイブーム(戦後、日本には200社のオートバイメーカーが在りました!)に続く軽四輪と正に百花僚乱。

完全に大衆の道具となった自動車は、コストダウンと大量生産に切磋琢磨するのです。
維持費を安くする為の軽量化もセールスポイントになり、大恐竜時代が終わったアメリカは1970年(時は正にオイルショック!)、有限要素解析法と云う設計技術を発表します。

アボロ計画を成功させる為に生まれたと云われる有限要素法は、従来設計段階で想定されていたストレスを大幅に減らす、いわば「どこまで手が抜けるか」みたいな発想で、これに因って全ての物作りが変わりました。(東名高速道の一キロ区間の工費と、それより二十年前に作られた名神高速道の五十メートル区間の工費は一緒なんです。不思議でしょ?当時の日本列島改造論の根幹に有限要素法が在ります。日本の原発の殆んどがこの時代に出来ました!)

世界の自動車メーカーはこれに飛び付きました。
使い捨て時代の到来です。

これ以後、自動車のカタログに堅牢さは唱われ 無くなりました。
車の性能を上げるのに手っとり早いのは軽量化する事です。

性能は良くなるし燃費も向上します。
カタログ上は良い事づくめですが、経年疲労や事故時の強度も含めて耐久性は絶対下がります。(ヘルメットは一度落としたりして衝撃を与えるともう使えません。所定の強度が無くなります。今の国産車の衝撃吸収ボディも本当はそうです。)

重量や強度が無いと作り出せない性能もあるのです。
もはや、車を大事に永く乗ると云う事は難しい時代になりました。

でも僕は、これから、車をそしてその文化を大切にする良い物を見抜く審美眼を持った人達が居るのを知っています。
これから日本で、本当の自動車文化が生まれるでしょう。

中森広騎